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冷血な獣
第16章 飼い猫
* * *
『妃南ちゃん、大人になったらリョータと結婚しようね』
子供の頃の約束なんて覚えているわけがない。所詮、子供の戯れ言。約束してないのと一緒。けど、片方が覚えていたら……。本人は至って真面目に約束を守って、その子だけを想い続けて過ごしていたら。
『うん。約束だよ。じゃあ、誓約書にハンコ押して!』
『ハンコ……?セイヤクショ……?それ何なの?妃南ちゃん』
『誓約書書いてハンコ押したら、絶対守らないといけないんだよ。お昼にあるドラマで言ってた。約束破ったらころされちゃうの』
『そうなの?何か……妃南ちゃん、大人……』
ませていた自分をのろいたい。母親の影響ではまって見ていた昼ドラ。それは今でいう王道なメロドラマだったが、幼い頃の私には憧れが強かった。