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冷血な獣
第16章 飼い猫
別のドレスを手に取って、体に当ててみる私の胸は抉られ過ぎて凹む。
「彼氏に連絡した?」
「うん、したよ……」
「なんて?」
「まだ返事来てないけど……何で?」
「別に……ああ、そうだ。妃南、これ書いて」
りょう君がジャケットの胸ポケットから一枚の紙を取り出す。
「何……?」
不思議に思い質問すると、即答された。
「婚姻届」
「えっ……婚姻届?……ええっ!」
何でそんな物を?結婚するふりでしょ……?
「妃南、結婚しよう。幸せにするから」
私の混乱を更に招く様にりょう君が真剣に話すと、呆然とする。
「これ、結婚するふりなんだよね……?別に婚姻届なんて書かなくても……」
「俺は本気でしたいよ。妃南の事好きだし」
さらりと告白。……けど、そんな簡単に信じられるわけないっていう。