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冷血な獣
第16章 飼い猫

「実を言うとね、小学6年の時に部屋で誓約書を見つけて、妃南を思い出したんだ。それからずっと会いたかった……凄く。……凄く」

絶対違う。好きな人を見つめる目が、こんな闇掛かってるわけない。

「中学生の時は会いた過ぎて、妃南に手紙を書いた。心を込めて、好きだよって」

「っ……」

「高校生の時には子供の頃に住んでたアパートへ行ってみた。でももう妃南は引っ越してて会えなかったんだ……」

「アパートに行ったの……?」

私の質問にニコッと笑って、やはり爽やかだと感じる……。家族の前では優等生だと言っていたし、それは屋敷でもということなんだろう。さっきまでの口の悪さも無くなってる。

「大学を卒業して漸く、お金払って妃南を探して貰ったよ。そうしたら妃南はうちの会社の取引先に就職してた。あの時は信じられなくて、嬉しさで泣いたんだ……」

急に頬へ、ぽとっと水滴が降ってくる。それは私の頬をつたい、ベッドのシーツへ小さな染みを作った。

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