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冷血な獣
第4章 お見合い大作戦1
「……来なきゃ良かった」
グラスをカウンターに置きながら、自然と息を吐く様に呟く。
今まで恋に対して臆病だった。そのせいで上手くいかず、相手から全てふられてきた。今回こそそうならない様に、龍河さんを失わない様に、勇気を出して頑張ってみようと思った。けど……。
やっぱり、もう帰ろう……。
「すいません、お会計お願いします」
バッグから財布を出しながら、バーテンダーに声を掛ける。
するとすぐに、バーテンダーから返事を返された。
「好きな人ですか? あのお見合いしてる方」
「えっ……?」
「さっきからずっと気にしてますよね? 帰っちゃって良いんですか?」
……何で分かるんだろう。この人、凄い!
「一応恋人として付き合わせて貰っているんですけど、二人を見たら自信が無くなっちゃって……」
バーテンダーに答える。よく見れば、私より若そうな容姿と爽やかな雰囲気。