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冷血な獣
第7章 振り向かない
「お願いします、教えて下さい! 教えてくれるまで、この手を離しません!」
両手で龍河さんの右腕にしがみつくと、龍河さんから睨まれる。
だけどしょうがなさそうに、龍河さんは話し始めた。
「……この間の見合いを断ったからだ」
「お見合い……? ということは、取引先の社長さんが龍河さんをクビにしたんですか?」
「実際はクビにするよう、うちの社長へ根回ししたんだ。俺を退職させないと、うちの会社との取引を止めると言ってな」
「そんな……」
そんな話が実際にあるなんて。
龍河さんの話を聞いて、私は返す言葉が見つからなかった。