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冷血な獣
第7章 振り向かない
「この事は他言無用だ。分かったな?」
「分かってますけど……」
「何だ。暗い顔して」
そんな不可解そうな面持ちをされると、落ち込むのも落ち込めない。
一体どんな環境で育ったら、こんな淡白になるのだろう。
私だったら、絶対に受け入れられない。
「本当に、辞めなくちゃいけないんですか?」
龍河さんの右腕から両手を離しながら、質問する。
龍河さんが会社からいなくなるなんて嫌だった。
何も悪いことしていないのに辞めさせられるなんて、悔しかった。
「もう決まったことだ」
それなのに平然としていれる龍河さんは、大人だ。