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冷血な獣
第7章 振り向かない

龍河さんは大丈夫だろうか……。
全く連絡を取っていないから、そんな事も知らなかった。
諦めないなんて言っておきながら、龍河さんを支える事も出来ないなんて。

「もう一つ言うとね……龍河さんが就職する為の方法が一つだけあるの」

言いにくそうに、茶織先輩は続ける。

「方法が……?」
「あのね妃南……その方法って、社長の娘と結婚する事なの……」

茶織先輩の言葉に、自分の耳を疑った。

「結婚……?」

それって、一度断ったお見合いを受け入れろって事?
あのホテルでお見合いした人と結婚しろって?

そうしないと、今まで龍河さんが努力して積み上げてきた能力や仕事が消えて無くなる……?

「妃南、気にしないようにね……。龍河さんが結婚すると決まったわけじゃないから」

気遣って励ましてくれる茶織先輩の言葉も、方針状態の私にはあまり聞こえていなかった。
ただ自分の無力さを呪うしかなかった。

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