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冷血な獣
第7章 振り向かない
* * *
退勤時間になると私は急いで会社を出て、龍河さんのマンションへ向かった。
とは言っても、真っ先に部屋へ行く勇気は無く、エントランスから電話を掛ける。
「もしもし……」
『……何だ?』
「龍河さん、その、色々大変だという事を聞いて……」
『だから……?』
「マンションへ会いに来てしまったんですが……」
電話越しに聞こえてくる龍河さんの声。
こうして話すのも久しぶりで、一気に緊張が込み上げた。
そして相変わらず、龍河さんは冷淡で。
『今すぐ部屋に来い』
その冷ややかな口調に、どきりと心を高鳴らせる自分がいた。