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冷血な獣
第8章 嫉妬
『久しぶりに抱きたくなったな』
からかう時は、こんな風に笑うのか。
普段滅多に笑わないのに……。
心臓が早鐘を打つ。
続けられた、龍河さんの言葉を聞くまでは。
『……と、言うとでも思ったか?』
数秒前までの笑顔が嘘だったかの様に、龍河さんは冷たい態度へ戻る。
そして冷たく私を見据えながら、冷淡に言い放った。
『俺が何処に泊まろうと佐伯には関係ない。俺は1カ月、ホテルに泊まる』
……もう何を言っても、きっと私の言うことは聞いてくれない。
所詮私は龍河さんに取って、ふった女。
自分の事へ馴れ馴れしく口出ししてきて、うざいと思われている事だろう。
『……分かりました』
胸を締め付けられる様に苦しくなりながら、私は返事をする。
さっきからかわれた言葉がまだ私の心には残っており、自分を惨めに感じさせた。