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冷血な獣
第8章 嫉妬
そんな私をひく様な目でじっと見ながら、質問する龍河さん。
「……何かあったのか? 帰って来てから機嫌が悪いぞ、お前」
「別に……」
その質問に答えながら椅子から立つと、無意識に思い切りフォークでハンバーグを刺していた。
「何もないです!」
「……何もない事はないだろう、それ」
再び何かおぞましいものでも見る様な瞳でこちらを見ると、龍河さんは一度ため息を吐く。
そして椅子から立ち上がると、リビングのソファへ歩いていく。
「後で食べる」
「待って下さい……」
やってしまった……。
雰囲気を悪くするつもりはなかったのに。
そのまま私達は無言で、私が夕飯の片付けを済ませるまでの間も一言も話すことはなかった。