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冷血な獣
第8章 嫉妬
その後入浴を終え、私はリビングへ行くと、ソファに座って読書をしている龍河さんの前で立ち止まった。
「龍河さん、さっきはすいませんでした……」
「もう良い。誰にでも虫の居所が悪い時はある」
申し訳なく思いながら謝ると、優しくフォローされてほっと安心する。
今なら、聞けるかもしれない。
「そういえば……面接、どうでした?」
「ああ……その事だが」
本を閉じて、視線を私の方へ移す龍河さん。
何を言われるのか緊張して、気持ちのゆとりが無くなる。
もし結婚すると言われたらどうしよう。
今日見た龍河さんと和仁社長の娘さんが一緒にいる光景を思い浮かべ、泣きべそをかいた。
だけど。
「ダメだった」
返事を聞いて、キョトンとした。
「えっ? ダメだったんですか?」
「ああ。やはり和仁社長が根回ししているらしい。和仁社長との関係を崩したくないから採用出来ないと断られた」
「そうですか……」
今日本当に面接へ行ったんだ。
いや、でも、龍河さんが和仁社長の娘さんと会っていたのは事実。
二人が結婚しないと安心するのは早い。