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飼っていたペットに飼われています。
第64章 LOVE(サキ目線)
 玄関に入るとすぐ、私を覆うように顔の両脇に手を置いて、もう逃さないというように熱い瞳をしたスイが強請った。
「もっかい。もういっかい言って? さっきのサキの気持ち。」
「…好き。好きだよ。スイ。」
「うん。」
「ひとりの男の人…、人じゃないけど男性として。私、1人の女性として、スイが好き。あの…『LIKE』じゃなくて、『LOVE』で。」
「…いつから?」
「多分初めて会った時から、ずっと。それが恋だったって気づいたのは、最近だけど。」
 するとスイは「はぁ〜〜。」と大きく息を吐きながらずるずると頭を下げていき、サキの胸の上で止まるとぐりぐり埋めるように揺らしながら言う。
「…一緒。…全部一緒じゃん。はぁ…、何だよ。何やってんだよ、俺…。」

 そして、もう1度元の体勢に戻って真剣な目で私を見ながらずっと願っていた言葉をくれた。
「俺もサキが好き。心も身体も全部、ずっと欲しくてたまらなかった。この気持ちが恋だって気づいたのはこの姿になってからだけど。初めて会った時からずっとサキに強く惹かれてた。」
「…嬉しい。」
「俺、サキが思ってるよりだいぶ重症だよ。いい?」
「いいよ。」
「サキがたまらなく好きすぎて、ちょっと狂うときあるよ。」
「…知ってる。」
「優しくないよ。」
「優しいよ。」
「でもサキに意地悪なこと沢山したくなるよ。」
「…そういうとこも好きだからいい。」
「覚悟できてる?」
「うん。」
「じゃあもう逃さない。」
 そう言って私の唇に自分の唇を重ねる。
 そのまま流れるようにひとつになった。

「サキ…練習行ってくるね。なるべく早く帰るから。」
 眠った頭の中にハスキーで優しい大好きな声がそう小さく響いて、温かくて柔らかい物が唇に押し当てられる。
 そうして朝を迎えたことと、これまで起きたことが夢じゃないんだと思ったら幸せすぎて、もうひと眠りしてしまった。
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