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飼っていたペットに飼われています。
第23章 秘密 下(スイ目線)
 侑斗がサキを狙っていることはすぐに気づいた。
 気分は悪いが、好意的な家族に囲まれたことは良かったのだと当時は思うようにしていた。

 そんな時、襲われるサキを見て、眠らせていた本能のような物が目覚めてしまう。
 ーーサキを食べたい。誰にも触れさせたくない。
 そう気づいてからは早かった。目につく生き物をどんどん食らって脱皮を繰り返し大きくなる。
 周囲のいぶかしがる空気にサキが困惑する姿にも、あんな男に流されそうになった罰だと思って見ぬふりをした。

 もう人間も食べられるだろう。
 遅くまで寝られなかった様子のサキがようやく寝付いた頃、そっと彼女の上に乗った。
 泣き叫ぶ彼女を腹の中に入れてしまえば、胸が焼け付くようなこの気持ちも治まる。そう思っていたのに悩み疲れて眠る彼女の寝顔を見ると正反対の気持ちが現れて躊躇う。
 ーー傷つけたくない。笑っていてほしい。
 目覚めて震えるサキを見たとき、彼女を1番傷つけていたのは邪な気持ちを持つ変わり果てた自分だと気づいてショックを受けた。
 胸に抱えたこの気持ちは危険すぎる。もう2度と目の前に現れないつもりで彼女の元を去った。

 目立ち過ぎる大きな身体を隠すため川から海へ出て辛うじて生きていたが人間になればこんな気持ちも捨てられるだろうと、流れ着いた水死体を食べてしまったために以前の名残が残る不完全な体になったのである。
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