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飼っていたペットに飼われています。
第33章 居酒屋にて(サキ目線)
「「「本当〜〜〜に申し訳ない‼」」」

 貸し切りにされた居酒屋の更に奥の個室で、目の前のDEEP BLUEのメンバーが床に着くほど頭を下げている。
「SUIがサキちゃんにしたこと、絶対に許されないことだと思う。それなのにサキちゃんの優しさに甘えて見てみぬふりをしてしまったことを許してほしい!」
「いやいやいや! やめてください! 本当にただのケンカですから。むしろ、私こそあんな素敵なライブの後にこんな空気にさせてしまってごめんなさい。」
 驚いてこちらも負けないくらい頭を下げ返す。

「こんな、良い子を…。いくらSUIでも許せん! やっぱりダメだ! 解散しよう!」
 リーダー兼ギターのKOUHEIが泣きながら叫んだ。
「やっと大きいレーベルに契約してもらってデカイ箱でワンマンできたその日にこれじゃあな…。」
 ツインギターのもう1人であるRYOは項垂れ、
「天才的なバンドマンってどっかイカれてたりすんだよ。俺もサキちゃんに訴えられても仕方ないと思う。」
 冷静なドラムのYASUまで諦めたように頷くので慌てて止める。
「解散なんてやめてください! 訴えるとかも絶対ないですから‼ もうこの話はやめましょう? ね?」
「サキちゃん…‼」
 この部屋にいる残りの1人。こんな大変な事態を引き起こした張本人SUIはというと黙って強い酒を何杯もあおっていた。

「言い訳にしかならないけど、さっき俺らアイツに聞いたんだよ。サキちゃんのこと真剣なのかって。そしたらあいつ一生面倒見るつもりだ、って言ってたんだ。」
「SUIは本当に100年に1人の天才だと思う。声はいいし、ベースも1度教えただけで覚えて耳で聞いた音は完璧に再現しちまう。作詞も作曲もイケてる。必ず売れて、サキちゃんにいい暮らしをさせるよ…!」
 一生面倒みるのはペットとしてなんですけどね…と心の中で呟きながらも優しい彼らにお礼を言った。
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