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飼っていたペットに飼われています。
第34章 ハニートラップ(スイ目線)
 突然知らないマンションに連れてこられ、不安げにきょろきょろとするサキを見て少し胸が痛んだが仕方ない。
 この部屋は内側からもロックをかけられる仕組みだ。番号を知っている自分以外は外に出られない。
 サキを閉じ込めておくには最適な檻だった。

 知能、身体能力、視覚、聴覚、嗅覚、味覚…どれもが人間よりも数段優れている自分のことである。
 サキの様子がおかしくなったことは先週から感じていた。
 俺の帰りを出迎えたサキの目は赤く、問い詰めても悲しい映画を見ていたからとしか言わなかった。
 翌日からもこれまでと変わらない風を装っていたが時々俺を見て申し訳なさそうな目をする。
 今考えると侑斗の元に戻ることを決めたからだったのだろうな。

 そして今日、ついに恐れていたことを告げられてしまった。自分はもう側にいなくていい、と。

 バックヤードで3000人近い人間の中からサキの匂いを感じ取ったときは驚いた。
 自分のバンドなんてどこで見つけた? 来るなんてひと言も言ってなかっただろ。辛うじて顔だけは見えるがこういう所は痴漢もナンパも多くて気が気じゃなく、軽く叱るだけのつもりで終了後に呼びつけた。  が、彼女らしからぬ服装を見てあまりの危機感のなさに怒りが爆発してしまう。
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