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飼っていたペットに飼われています。
第35章 裏切り(スイ目線)
 最初はいつもの恥ずかしさからの抵抗だと思った。
 それなのに…。

「違う、違うの! もう…いいよ。私なんかに構わないで。私…、スイのペットやめる!」 
 胸がざわりとして、怒りで体中の毛が逆立ちそうだった。 
 嘘であってほしいと聞き返せばよくわからない言い訳で逃げようとする。
「スイはすごく…、輝いてる人で…、私なんかの相手なんてもう…、しなくていいの…。今まで…、ごめんなさ…」
 これ以上は聞きたくなかった。そして、先週からのよそよそしい態度の謎が解ける。
 ーーああ、俺から離れてあの男のところに帰りたくなったんだな。

 そこから先はもうちゃんと覚えていない。怒りの中、欲望のままにとにかく責め立てた。
 ー裏切られた。裏切られた。裏切られた!
 この女はとんでもない策士だ。

 どうしてもいなくならないでほしいと縋り付いてきた癖に。
 身体はこんなに俺に甘えてくるようになったのに。
 そのうちこんな歪な関係で縛らなくても愛してもらえるような期待をしてしまったじゃないか。

 もう気持ちを通じあわせたいと願うのはやめよう。
 心が手に入らないなら器ごと閉じ込めて手に入れてやる。
 痛みに怯え、快楽を貪り、自分から離れられなくなればいい。
 そう心に決めたときには彼女はアンプに体をもたげて気を失っていた。

 流石に嫌われただろうと思っていたのに、その後のサキはメンバーの前で俺を必死に庇い続ける。
 本当にお人好しの馬鹿だ。
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