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飼っていたペットに飼われています。
第36章 お勉強(スイ目線)
「お願い。大学にだけは行かせて…。」

 サキを監禁して7日目。1度も外には出していなかった。
「もう必要ないでしょ? 俺が全部面倒見ればいいんだから。」
 冷たく返しても諦めない。
「ちゃんと卒業したいの。お願い、ちゃんとここに戻ってくるから…! 絶対逃げないから…。」
 そういって俺が取り上げたカバンを取り返そうと手を伸ばす仕草が可愛くて油断する。30cm以上の身長差を埋めようとぴょんと跳ねたサキの指先に引っ掛かった鞄が落ち、中身が床にぶちまけられてしまった。

「あーあ。何やってんだよ…。」
 大学で使うのであろうペンケースやプリントなどを2人で拾い集める。
 その中に開かれた状態で広がったノートを手にして見ようとすると、サキが慌てて奪い返そうとしてきた。
「それはだめっ!」
 2度も同じ手を喰らうか。今度は腕をめいっぱい上げてサキから遠く離した状態でページをめくる。サキの丁寧な字で英語の下に日本語が書かれたものが10ページ以上あるようだ。
「これ何?」
「返して! 見ないで見ないでっ!」
 俺の胸のあたりを叩きながらサキは顔を赤くしている。
 そう言われると余計に見たくなるもので最初から順番に目を通す。

 それは、DEEP BLUEのアルバムの歌詞を訳したものだった。
 いやいや、この状況絶対俺のほうが恥ずかしいだろ…。
 そう思ったが、性行為を描写するハードな曲もきちんと訳してあって思わず口角が上がった。
「これサキが訳したの?」
「うん…辞書で調べたけどいっぱい間違ってると思うし、もういいでしょ…?」
 真っ赤な顔でぽそぽそと俯いて答える姿に嗜虐心がくすぐられる。
「へえ…、結構下品なスラングも入れたんだけどよくわかったね?」
「…辞書で出てこないのは、インターネットで調べたから。」
「偉いね。そんなに勉強大好きならやっぱり大学行かせてあげようかな?」
「ほんと⁉」
 裏を含んだ俺の言葉にも気づかず、嬉しそうに顔を上げるサキの姿に笑みが抑えられない。

「ただし、俺とのお勉強会が終わってからだけどね。」
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