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飼っていたペットに飼われています。
第44章 嘘(サキ目線)

「ほらサキの好きな紅茶でも飲んでリラックスして話そう。」
サキの手にカップを握らせたあと彼は切り出した。
「……前に会ったあの彼とまだ一緒にいるの?」
温かいそれに口につけて、そっと頷く。
「つきあってるわけではないよね?」
同じようにもうひとつ頷く。
「この間雑誌で見たよ。人気急上昇中のバンドマンなんだってね。」
答えの代わりにもうひと口飲み込んだ。
「やめておきなよ。ああいう男には絶対他に本命がいる。サキが傷つくだけだ。」
「………。」
「なんであんな男に執着するのかなってずっと思ってて、名前を調べてようやくわかったよ。サキが大事にしてたペットと同じ名前なんだ。」
「………。」
「サキには悪いけど、俺はあの不気味な生き物がいなくなって清々してた。サキを気持ち悪い目で見て、あちこち身体を舐めてさ。ゾッとしたよ。」
「………。」
「サキもそれをいつも嬉しそうに喜んで、それこそ俺といる時よりもずっと大好きって感じで見つめてたね。まるで恋でもしてるみたいにさ。」
「………。」
「あの生き物がいなくなればそんな危ない幻想から醒めて俺だけを見てくれるだろうって思って、毎晩サキと俺の部屋のドアと窓を少し空けておいたんだ。」
「………?」
「あの生き物に見えるところでサキの身体を手にいれたら狂って俺を殺そうと首元に噛みつきにでもくるだろうなって思って。そしたらすぐに捕まえて外に投げ捨てられるだろ? それすらも邪魔しやがってブクブク肥えていったのは予想外だったけどさ。本気で俺を殺そうと襲って来たときに用意したサバイバルナイフで一突きしてやったら間一髪で助かったよ。」
「…ひどい‼」
「そのあと手足を切り離して近所の川に捨てたからもう死んでるよ。水に投げ落とす瞬間まで嫌な目して睨んだままだから、化けて出てこないように優しく言ってやったんだ。『サキはお前が恐くてずっと困ってたんだ。サキのためを思うなら黙って消えてやるのが本当の愛じゃないか?』って。そしたらやっと目を閉じて流されていってさ、あの顔今思い出しても笑えるよ…クククッ…。」
サキの手にカップを握らせたあと彼は切り出した。
「……前に会ったあの彼とまだ一緒にいるの?」
温かいそれに口につけて、そっと頷く。
「つきあってるわけではないよね?」
同じようにもうひとつ頷く。
「この間雑誌で見たよ。人気急上昇中のバンドマンなんだってね。」
答えの代わりにもうひと口飲み込んだ。
「やめておきなよ。ああいう男には絶対他に本命がいる。サキが傷つくだけだ。」
「………。」
「なんであんな男に執着するのかなってずっと思ってて、名前を調べてようやくわかったよ。サキが大事にしてたペットと同じ名前なんだ。」
「………。」
「サキには悪いけど、俺はあの不気味な生き物がいなくなって清々してた。サキを気持ち悪い目で見て、あちこち身体を舐めてさ。ゾッとしたよ。」
「………。」
「サキもそれをいつも嬉しそうに喜んで、それこそ俺といる時よりもずっと大好きって感じで見つめてたね。まるで恋でもしてるみたいにさ。」
「………。」
「あの生き物がいなくなればそんな危ない幻想から醒めて俺だけを見てくれるだろうって思って、毎晩サキと俺の部屋のドアと窓を少し空けておいたんだ。」
「………?」
「あの生き物に見えるところでサキの身体を手にいれたら狂って俺を殺そうと首元に噛みつきにでもくるだろうなって思って。そしたらすぐに捕まえて外に投げ捨てられるだろ? それすらも邪魔しやがってブクブク肥えていったのは予想外だったけどさ。本気で俺を殺そうと襲って来たときに用意したサバイバルナイフで一突きしてやったら間一髪で助かったよ。」
「…ひどい‼」
「そのあと手足を切り離して近所の川に捨てたからもう死んでるよ。水に投げ落とす瞬間まで嫌な目して睨んだままだから、化けて出てこないように優しく言ってやったんだ。『サキはお前が恐くてずっと困ってたんだ。サキのためを思うなら黙って消えてやるのが本当の愛じゃないか?』って。そしたらやっと目を閉じて流されていってさ、あの顔今思い出しても笑えるよ…クククッ…。」

