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第44章 嘘（サキ目線）

「……ずっと！　ずっと優しい人だと思ってたのに！　私、帰る‼」
　怒りで震えながら立ち上がろうとすると酷い目眩がして足がフラついた。
　ギュッと掴まれた腕に電流のような嫌な刺激が走って、自分の身に起きている異変に気がつき鳥肌を立てながら侑斗を睨んだ。
「…な、何を…っ⁉」

「ひどいなぁ。サキは俺のお嫁さんになる子だからと思って処女を奪うのもあんなに待ってあげてたのに。」
　やれやれと言った表情で、抵抗するサキをベッドの上まで抱き上げながら侑斗は続ける。
「優しい俺は泣きわめく女の子を無理矢理抱くような趣味はないから安心して。」
「一緒に気持ちよくなろうね、サキ。」
　普段通りの変わらない笑顔の侑斗を見上げて睨むサキの頭に激しい警告音が鳴り響いていた。