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飼っていたペットに飼われています。
第47章 優しい嘘(サキ目線)
 再び意識を取り戻した頃にはあたりは暗闇に包まれていた。
 少しの間だけでも、今日自分に起きたことはすべて悪夢だったと思いたいのに、太ももに不快に張り付いたスカートの冷たさと嫌な頭のズキズキした痛みがそれを許さなかった。
 現実を受け入れ、乱れた衣服と髪を手早く直し、後ろを何度も確認しながら小走りで足を進める。
 自然が多く残る郊外のこの場所は夜になると人通りも少なくなるため、駅のトイレまで誰ともすれ違わずにたどり着くことができた。

 ーーバシャ、バシャ、バシャ…。
 表面のヌルつきはもう充分落ちているのに、何度顔を洗ってもあの嫌な熱と生臭さが肌の奥に染みついてしまったように感じて、鳥肌が止まらない。
 諦めて顔を上げ、鏡に写った穢れた自分を見た。
 堪らず泣き出しそうになった目に力をぐっと入れて頬をペチペチ叩き、叱るように小さく呟く。
「いちばん傷ついていたのは誰? いま守らなきゃいけないのは誰? 馬鹿で無知だった自分を嘆くのは後でしょ。」

 化粧ポーチを取り出して、いつもと変わらない顔を作り上げると、ひとつ息を吐いて鳴り続けるスマートフォンを手に取った。
 画面を確認すると、スイからの着信もメールも3ケタに達している。
 メールの文面は時間が経過するごとにサキから連絡がないことへの疑問から怒り、やがて身を案じる焦りに代わり、最後にはとにかく連絡がほしいと懇願する様子が見てとれた。
 スイの大きな優しさと自分の愚かさを改めて感じ、震える指で文字を打つ。

『私は無事です。沢山心配かけてごめんなさい。あと1時間ほどで帰るので、もうどこも探し回らないで家に戻って待っていてください。本当に本当にごめんね。』
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