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第47章 優しい嘘（サキ目線）

　…コツ…コツッ。
　目の前で足を止めただけで待っていたとばかりに扉が開き、自分を引き込むように招き入れて痛いほど抱きしめるスイ。
　顔が見えなくて良かったと思いながら、サキは何度も頭の中で練習した言葉達をすらすら並べた。
　『バレない嘘をつくためには、100ある本当の中に一粒だけの嘘を混ぜること。そうすれば誰にも気づかれない』そう言っていた大学教授の言葉を思い出す。

　感の良い彼がどうか気づきませんように、と思いながらサキの口は優しい嘘を吐いた。