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飼っていたペットに飼われています。
第50章 DEEP BLUE 上(サキ目線)

「綺麗な満月…。」
白い息を吐きながらそう呟くと、スイが作ったあの曲を思い出す。
海の底まで差し込む月の光が、手に入らない美しい人を思い起こさせるから忘れることができない。
その歌詞は奇しくもいまの自分を表しているようだった。
湖の真ん中に映った輝く月は、日本人離れしたスイの白い肌みたい。もう少し近くに行って触ってみたい。
そう思うと、寒さも忘れて湖の中に足を踏み入れていた。
バシャ……バシャ……。
サキの1番好きなその曲を口ずさみながら奥へ奥へと進んでゆく。
なのに、近づいては離れるその月にはなかなか辿り着けなくて。
ふと気がついた時には水は自分の胸のあたりまで来ていた。
やっと今の自分の状況に気づき、急いで岸へ戻ろうとするが凍った足はもう動かない。
体中が無数の針に刺されたように痛くて痺れて、やがてその感覚もなくなっていく頃には自分がまもなく両親と同じ場所へ旅立つのだと理解していた。
「ちゃんと、スイに謝りたかったなぁ…。」
そんな風に後悔しながらサキは意識を手放し、冷たい水の中へと沈んでいった。
白い息を吐きながらそう呟くと、スイが作ったあの曲を思い出す。
海の底まで差し込む月の光が、手に入らない美しい人を思い起こさせるから忘れることができない。
その歌詞は奇しくもいまの自分を表しているようだった。
湖の真ん中に映った輝く月は、日本人離れしたスイの白い肌みたい。もう少し近くに行って触ってみたい。
そう思うと、寒さも忘れて湖の中に足を踏み入れていた。
バシャ……バシャ……。
サキの1番好きなその曲を口ずさみながら奥へ奥へと進んでゆく。
なのに、近づいては離れるその月にはなかなか辿り着けなくて。
ふと気がついた時には水は自分の胸のあたりまで来ていた。
やっと今の自分の状況に気づき、急いで岸へ戻ろうとするが凍った足はもう動かない。
体中が無数の針に刺されたように痛くて痺れて、やがてその感覚もなくなっていく頃には自分がまもなく両親と同じ場所へ旅立つのだと理解していた。
「ちゃんと、スイに謝りたかったなぁ…。」
そんな風に後悔しながらサキは意識を手放し、冷たい水の中へと沈んでいった。

