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第55章 真実（スイ目線）

　手先、足先に軽い凍傷を起こして痛がるサキの口元にそっとシチューを流し込むと、
「…んっ！　おいしい〜！　絶対スイのほうがお料理上手だよね！」
　と、歓声を上げて幼い顔で笑うサキを見て、流石にもう大丈夫かと安心する。　

　自分のことは棚に上げ、ここ何日かはずっとサキを叱り続けていた。
　どんなに知力や才能が高くても、好きな女の前では何の役にも立たない。何考えてるのか想像もつかない。
　それでももういい。どんなサキでも、笑って生きてさえいてくれたらいいと心から思ったんだ。