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飼っていたペットに飼われています。
第55章 真実(スイ目線)
 仕方なく背中を向けたまま座り、発狂したいのを堪えて黙って聞いた。
「…あの人がスイにしたこと、全部聞いた。」
 サキの声が震えている。
「私…、あんな酷い人って知らなくて、完全に油断してて…。出された紅茶、飲んじゃったの。その中に…多分…薬、みたいなの入れられてた…。」
 驚いて振り返るとサキがぽろぽろ泣きながら続けた。
「…スイのことで、怒って興奮すればするほど…体がおかしくなって、力が入らなくなって…。」
「サキ…、無理に話さなくていい。」
 気遣って静止した俺の言葉に首を振って続ける。
「…口移しでもっと紅茶飲まされた。胸…いっぱい触られた。嫌で嫌で堪らないのに一瞬意識もなくなった。」
 少し間を置いたあとに再び話す。
「…それでも我慢して黙って…胸を使われて…顔に、出されたの。それで油断したあの人を蹴って逃げた。」 
 そっとお腹の下の方に手を添えてサキは続けた。
「どうしても、ココにはスイしか入ってほしくなかったから。」
 そして、俺の目を見つめてこう締めくくった。
「これが全部。本当のこと話したら、スイが嫌なこと思い出してまた傷ついちゃうかなって勝手に悩んで隠しちゃった。でも、今更こんなこと言っても信じてもらえないよね。」

 今度は俺の番だった。
「…信じるよ。気づいてたかも知れないけど俺、鼻がすごくいいんだ。サキのソコからはアイツの臭いしない。鼻だけじゃない、目も、耳も、口も、体力も知能も全部。人間より、多分どんな地球の生き物より優れてる。」

「俺は、この星の生き物じゃないから。」
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