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イケないキミに白い林檎を
第6章 反覆
「乙羽さん、……どういうこと」
一方、ソラ先輩はすごく寂しそうな目をしていた。
この時の気持ちを知っている。
過去の私も経験したことのあることだから。
一緒にいた人を他の誰かに奪われる。
そんな気持ちをソラ先輩にさせて心が痛くなってくる。
これ以上、私を苦しめないで……!
「ごっ……、ごめんなさいソラ先輩!今日はありがとうございました」
樹さんの腕を引いて、素早くその場を立ち去った。
赤に切り替わりそうだった横断歩道を急いで渡って離れる。
……ごめんなさい。
本当にごめんなさい。
「さっきの元カレ?友達?」
「……いえ、高校の時の先輩です。それ以外なんでもないです」
「よかった、安心しました。風子ちゃんの新しい彼氏だったらどうしようかと思いましたよ」
「いやいや。あの人が彼氏だなんて絶対に有り得ません」
変な誤解をされないように我慢して笑顔を作った。
女として見てくれているのは樹さん。
どうせソラ先輩は私のことを後輩としか見てないんだから。
私は……女として愛されたい。
だから、こっちを選ぶ。
ハッキリと愛の形が分かる方を……――