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イケないキミに白い林檎を
第8章 仕置き
話が一段落すると、ソラ先輩はビニール袋からお弁当を出した。
二つあるから私の分まで買ってきてくれたようだった。
最低な奴だと思っていたのに、早速餌で釣られそうになる私。
どんなに酷い言葉をぶつけても、負けずに踏み込んでくるからこの人には敵わない。
「これどうぞ。勝手に台所借りて作りました。監禁されてましたから、出掛けられなくておかずは作れませんでしたけど」
台所から持ってきたお皿にのっているのは塩おにぎり。
冷蔵庫を開けても飲み物しか入っていなかったから、唯一あった米と塩で作った。
「いいの!?」
「はい。さっさと食べてください」
椅子に座ってから行儀よく挨拶して、私が作った物を口にしてくれる。
「すごく美味しいよ」
「ただの塩と米ですけど」
「乙羽さんが作ってくれたから美味しいんだよ。でもこういう事をすると、ますます好きになるよ?」
爽やかイケメンが好きだなんて言葉を使うと罪でしかない。
わざと愛想をなくそうとしても、頬が緩みそうになる。
「じゃあ、もうしません」
「えー、そんなこと言わずに毎日ご飯を作りに来てよ」
「遠慮しておきます。自分で作ってください」
シンプルな物なのに、喜んで全部食べてくれた。
作った甲斐はあったかな……。
これも今まで助けてくれたお礼。
……やっと返せた気がする。