この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
イケないキミに白い林檎を
第10章 告白
「私だって…、本当はもう傷付きたくありません」
「そうだよね。乙羽さんはいっぱい頑張ってたし」
「なんでいつも私を擁護してくれるんですか。……こんな私を許しちゃうなんていい人にもほどがありま――」
顔を上げるとソラ先輩と目がピタリと合うけれど、穏やかに微笑む裏には苦しさが混じっているように見えた。
今度は皮肉じゃなくて、褒めたつもりなのに……。
戸惑っていると、背中に腕を回されてぎゅっと抱き寄せられる。
「乙羽さんのことが好きだから」
――…………。
その言葉で一瞬だけ私の思考が止まった。
私のことを『好き』って言った……?
「え……、あの…」
嘘…………。嘘だ……。
……これはきっとお得意の嘘だ。
だって…、好きだなんて言わないって言っていた……。
「それ以外に助ける理由なんてないよ」
今、どんな顔で言っているんだろう。
気になるけど見えない。
でもひとつだけ分かるのは、私がつらい思いをして救ってくれた時と同じ声。
「えっと、……ありがとうございます。後輩として好きなんですよね」
私のこと、大切な後輩だって……。