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イケないキミに白い林檎を
第11章 片想い

――――何やってるの。私が本当に好きなのは颯太でしょ?


もう一人の自分が心の中で囁き、これ以上踏み込まないようにストップを掛ける。


見上げていた顔を下に向けると、額に軽くキスを落とされた。

前にされた時よりも敏感に伝わって顔が熱くなる。

目を合わせるとソラ先輩は眉を下げて微笑んでいた。


「すっ…、少し砂浜の方を歩いてきますね」

一人で階段を降りて、小走りで波打際へと向かった。

早くなった鼓動がまだ戻らなくて顔も熱い。


どうしよう、避けちゃった……。
彼女になるって約束したのに、キスを拒んでしまった。

傷付けたかな……。


樹さんや加川先輩の時は、好きという感情がなくても勢いでキスができたのに。

どうしてできないんだろう。


でも好きにならないと言った上で付き合っているんだから、気にする必要はないか……。


表は爽やかでいい顔してるけど、裏は監禁とお仕置きをしてくるほど強引な大魔王。

ベッドの上でお仕置きをしていた彼の姿を忘れてはいけない。


頬を両手でパチンと叩いて、流されそうになっていた自分に活を入れた。


どうであれ、目の前に見える海は綺麗なんだから楽しまないと。


海の写真を撮ろうと思い、スマホを取り出したら不在着信が通知欄にあった。

電話を掛けてきた相手は颯太で何事かと思い、すぐに掛け直す。


「もしもし。颯太、どうしたの?」


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