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イケないキミに白い林檎を
第11章 片想い
外のエリアを歩いている時。
少し強い潮風が吹いたせいで髪が少し乱れてしまった。
手串で整えたけど、気になって仕方がない。
ボサボサで女らしくないとか、変に思われてないかな……。
とにかく気になって堪らない。
「すみません。お手洗いに行ってきます」
いってらっしゃいとソラ先輩に快く見送られた後、女子トイレに向かって崩れていた髪を直した。
よし、これで大丈夫……!
鏡に映った自分の顔を見ると、自然と口角が上がっていた。
なんでこんなにニヤついているんだろう。
ここ最近、鏡を見てもつまらなさそうな無表情の自分しかいなかった。
ニッと笑顔を作ってみても、いつもより笑えている。
もしかして、私はソラ先輩とのデートを楽しんでいる……?
寂しさだけ埋めることができればいいし、楽しむつもりなんてないのに……。
水族館を見終わった後、今度は海に行く。
九月末でシーズンも終わっており砂浜は閑散としているが、人混みが苦手な私には丁度いい。
晴れている空に流れるような雲。
ずっと記憶に残しておきたいほど吸い込まれる青い景色を防波堤から見ていた。
「ソラ先輩はよく海を見に行くんですか?」
「行かないよ。でも乙羽さんと行きたいなって思ったから」
「私と……ですか」
「うん。そうだよ」
甘い視線を送られてドキドキと鼓動が煩く鳴り、耐えられなくなって瞼を閉じた。
このまま、受け入れていい。
寧ろ唇を重ねてみたい。
他のところにキスされた時は気持ち良かったんだから、唇だったらもっと気持ちいいはず。