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イケないキミに白い林檎を
第11章 片想い
颯太に嘘をついてしまった。
相手が二人いれば必然的にどちらかを選ばないといけなくなる。
どっちを守って、どっちを傷つけるか。
浮気をしていた颯太はこんな選択を迫られていたのかな……。
「乙羽さん、どうかした?」
でも様子を見に駆け寄って来てくれるソラ先輩は、私の最強の切り札。
まだ使うわけにはいかない。
「何ともないです。そろそろ、お昼にしませんか?実はお弁当作ってきたんです」
「えっ……、いいの」
「もちろんです。言っておきますけど、今回は塩おにぎりじゃないですからね」
「塩おにぎりでも乙羽さんが作ってくれた物なら嬉しいよ」
「はいはい。じゃあ、次から塩おにぎりにしますね」
冗談を言って笑い合いながら、あまり気合を入れてないお弁当を二人で食べた。
喜んでもらえたから作った甲斐はあったかもしれない。
今まで助けてもらった借りを少しずつ返せている気がした。