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イケないキミに白い林檎を
第11章 片想い
この前は言わなかったのになんで……。
頭の中で一気に疑いが浮かび上がってくる。
しかし“好き”と言う二文字が自分をさらに揺るがした。
私も颯太のことは好き……
「それでも……、したくない……」
植え付けられた理性が歯止めを掛ける。
そして私と真っ直ぐに向き合ってくれたあの人の笑顔を思い出して涙が流れた。
「……泣くとか、すげー萎える」
「ごめ…んなさ…い……」
「はあー……。おまえがやりたくねえって言うの初めてだな」
「ごめん…なさい……」
一方、ソラ先輩が帰ってくる気配はなかった。
お使いに行かせることが、二人っきりにしろと言う意味だと分かっていたんだろう。
“復縁の邪魔をしない”
その言葉は嘘ではなく、本物で……。
どうしてなのか今となってはその言葉が嘘であって欲しかった。
シーツの上に落ちてポタッと密やかに滴が落ちる。
ベッドに横になり、背を向けている私を颯太は後ろから抱きしめてくれた。
「泣かせるほど無理矢理した謝罪として、特別にさっき言ったいいことを教えてやる」
「なに……?」
「オレさ、……玲亜に浮気されてんだ」