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イケないキミに白い林檎を
第14章 それぞれの愛

土地勘のない場所を白い息を吐いてヒールの音を鳴らしながら走る。

いなくなったソラ先輩を探すために。


足を止めたのは、散歩していた時に通り過ぎた小さな公園。

静寂とした暗闇の中、細雪がひらひらと降ってくる。
唯一、光を放っている街灯の下でソラ先輩はそれを見上げていた。


「――――ソラ先輩!」


「乙羽さん……。なんで颯太と一緒に行かなかったの」


「今はまだ一応ソラ先輩の彼女ですから」

「本当に好きな人の方に行っていいんだよ」


「そんなこと言わないでください!もう少しで約束の三ヵ月になりますし、この役割を全うしたいんです」


傷付けるつもりだったのに、いつの間にか傷付けたくなくなって。

縛られているうちに裏切れなくなって。

少しずつ彼女らしくいたくなった。


付き合う前の私はどうにかしてるって言うだろうけど。
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