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イケないキミに白い林檎を
第14章 それぞれの愛
「乙羽さんにとって不本意でも嬉しいよ」
悲しそうな顔で笑ってから、私を抱き込む。
応えてあげることができないこの温もりに寂しさを感じた。
けれども、ここは颯太との記憶が薄れるくらいにいっぱいにされる。
ひとしきり浸って離れると、ソラ先輩が手の平を見る。
「寒いんですか?私が温めてあげますね」
両手でソラ先輩の手を挟むと、冷たくないのに力を感じなかった。
「ありがとう。少しだけ、寒かったかな……」
「ごめんなさい。目の前でキスしてる所を見せられたら嫌気が差しますよね……。こんな酷いことをしても私といてくれるんですか」
「決めたことを曲げるつもりはないよ。乙羽さんを俺のもとに縛り付けておける限りいくらでも我慢する」
「…………」
どうしてここまでして傍にいてくれるんだろう。
傷付いてつらいなら手放して逃げればいいのに。
……こっちまで苦しくなる。