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イケないキミに白い林檎を
第16章 わたしのこいびと
「うるせえな。……風子と別れてそれがよく分かったんだよ。
オレはどれだけおまえに支えられていたかってこともな」
頭でも打ったのかと疑うほど聞き慣れない言葉に私は目を見開く。
「なんか……、颯太らしくないね」
「改心してんだよ!ったく、……いつもありがとな」
初めて言われるぎこちない感謝の台詞。
意外と私は颯太に必要とされていたんだ。
嬉しくなり、調子に乗って世話を焼いて甘やかしてしまう。
散らばっているお菓子の袋や紙くずを捨てて、お酒の空き瓶と缶を分別して捨ててと手早くこなす。
私のしていることは誰でもできる小さなことだけど、尽くしていたのは無駄じゃなかった。
そう思うと笑みがこぼれた。
片付けが終わった後、せっせと晩御飯を作る。
「オイ、日曜日は絶対に一日空けておけよ」