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イケないキミに白い林檎を
第16章 わたしのこいびと
「本当に仲の良い従兄弟だなって思って」
「あ?社会人になってから遊ぶダチがいねえから暇潰しに遊んでやってるだけだ」
「そういう所は素直じゃないんだね」
「うっ、うるせーな。おまえに言われたくねえよ」
友達とするような話をしながら電車に乗り、先に降りる駅がやって来た颯太と別れた。
無事にデートが終わって安堵するけれど、まだ緊張が解けなかった。
早く会いにいかないと……!
目的の駅に電車が着いた頃は待ち合わせ時刻に大幅に遅れていた。
どこにいるんだろう。
この辺で待ち合わせだったはず。
地面が一面白くなっているほど雪は積もっていた。
一先ず建物から出て、ソラ先輩がいそうな場所を探す。
前に偶然会った場所である駅前の広場に何となく足を進めた。
けれども雪が降り続く中、人一人歩いていない。
私が遅いからもう帰っちゃったかな……。
「乙羽さん」