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イケないキミに白い林檎を
第17章 甘い恋がはじまる時

黙々と片付けて綺麗に拭き、台所の残りの作業は吊戸棚だけになった。

こうして片付けて行くと意外と物が多い。
颯太は料理をしないから、私が買って使っていた物が殆どだけど。


「すまん。大家さんと外で話してくるから作業を進めていてくれ」

退去の話で忙しいのか颯太が急ぎ足で外へ出て行った。

引っ越すって色々と大変なんだなぁ……。

私も早くここを終わらせないと。


吊戸棚に入っているのは殆ど箱。
手前の何箱か降ろして、奥にある鍋の箱を取ろうとする。

「んっー!届かない」

ダメだ……。

背伸びをして手を伸ばす。
けれども奥に押されてしまい益々届かなくなってしまった。

一旦、踵を落とした時。
シンクに置いていた醤油差しに当たって傾き、醤油が太腿にたらりとかかった。

完全に横に倒れないように下っ腹で何とかバランスを保っている。


うわー、やらかしちゃった……。

……大ピンチ!

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