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イケないキミに白い林檎を
第18章 イケナイキミに捧ぐ✕
「っ……、大地くんに言われなくても愛するから!」
口に出した後、ハッとした。
言わせてやったぜとニヤニヤしながら大地くんは私を見た。
人目に付く公共の場でくさいセリフを口にして逃げたいほどに恥ずかしくなる。
「これで僕の役目は終わりだよね。泣かせた彼女を慰めるのは彼氏の役割でしょー?」
「俺は乙羽さんを泣かせるとこまで頼んでないんだけどな」
「ともあれ、二人の仲が深まるきっかけになって僕はこの女装を誇りに思うよ。あ、ソラくんあの約束忘れないでね」
「分かってる。ありがとう大地」
「いいよ。では、邪魔にならないように僕は退散するよ。お幸せに……」
再びウィッグを被り、片手を挙げて凛々しく立ち去る大地くんの後ろ姿を見送る。
お店に入る直前、男にナンパされていた。
それを私とソラ先輩は遠くから見守った。
「あの……。大地くんとした約束って何ですか?」