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イケないキミに白い林檎を
第20章 ふたりの嫉妬と秘密の関係
後味がかなり悪くてむくれながら次の用事へと向かう。
電車から降りて改札を抜けると私の帰りを待っている人がいた。
その姿を見ると自然と頬が緩む。
これがソラ先輩が私にしていたお願い。
早めに切り上げて、夜はソラ先輩と一緒に過ごすこと。
「おかえり。寒くなかった?」
「寒かったです……」
ひんやりしている頬がソラ先輩の温かい両手で包まれる。
「風邪を引かないように温かくしないとね。颯太とのデートは楽しかったかい?」
デートか……。
煩わしい忠告を思い出すとまた腹の虫が収まらなくなってくる。
ソラ先輩は、颯太みたいに私を悲しませることをする人じゃない。
たまに大魔王という名のサディストになるものの優しい彼氏だ。
付き合っていて泣くようになるはずがない。
「あんなのデートじゃありません。ただの観光です」
「何かあったの……?機嫌悪くない?」