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イケないキミに白い林檎を
第22章 Reminiscence
「今までつらいことがたくさんあったんだからキミは幸せになっていいんだよ」
その一言で恐怖を消してもらえた気がした。
照れ臭い台詞を言ったのを誤魔化すように、私の頭をそっと撫でてからシュシュを取って結い直す。
「うーん、また緩くなる。やっぱり髪を縛るのは難しいな」
ダブルデートをして友達のように話せて、気楽にいれる莉乃さん達のようなカップルが羨ましいと思った。
でも私達には、私達なりの恋人の在り方がある。
これはこれでいいかな……。
まだ先輩後輩の関係が抜け切れていないけど、時間の流れと共に変わっていけたらいいな。
何より色んなことが、颯太と付き合っていた時とは違うんだ――――
そう言えば……
「燈也さんが亡くなったこと、颯太は知っていたんですか?」
「ん?颯太は燈也と面識もないし、教えてないから何も知らないはずだけど」
忠告はこれではない……
それなら、颯太は一体何を言いたかったんだろう。
ただの嫉妬……?
他に一体なにがあるというの……