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イケないキミに白い林檎を
第23章 溺れた小悪魔と禁断の夜
あれから特に何事もなく平和な日々が過ぎた。
唯一変わったと言えば、つい最近幸せな誕生日を過ごして私が二十歳になったこと。
やっと大人の仲間入りをして、一つ年上の彼氏に一歩近付いた気がした。
授業を終えて帰り道を歩いていると、急に頭上から水滴がぽつぽつと降ってくる。
その雫を確認してからすぐに勢いよく降ってきて、あっという間に一面の道路が濡れた。
梅雨入りしたけど、今日の朝は雲の隙間から太陽が出ていたから雨は降らないと思っていた。
つまり、傘を持ってきていない。
屋根のある場所へ避難するけど、一向に弱まる気配がない。
早く駅に行きたいのに……。
湿気で広がった髪の毛をとかすように触れながら、なるべく濡れないルートを探っていた時。
目の前に透明なビニール傘が表れた。
「――――入るか?」
「えーっと……」
後ろを振り向いて、頭上に傘をさしてくれた人物を視界に入れる。
「あの……、誰ですか?」