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イケないキミに白い林檎を
第26章 運命の赤い糸
「どうしてなのか分からないけど……、とても悲しくてつらいんです……」
激しい動悸がして呼吸が苦しい。その上、涙がボロボロと零れ落ち、感情が制御できなくなる。
窓ガラスが割れて思い出した時と同じような症状になってまた体調が悪くなってきた。
きっと私がこうなることを避けるために今の両親とソラ先輩は気を使っていてくれたんだろう。
「家まで送るから今日は帰って休もう」
伸ばしてくれた手にビクッと慄いて触れられないように体を引いてしまう。
お見舞いに来ておでこに触れられそうになった途端にソラ先輩を拒否してしまった時よりも嫌悪と恐怖感が強かった。
いつも私を優しく包んでくれていた大好きな人の手だとしても……。
怖くて、どうしても触れられない……。
「手を引くから出して」
「いいえ。自分で立てますから平気です」
「えっ……。でも……」
「触られるとすごく怖いんです。だからお願いします……もう私に触れないください――――」