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イケないキミに白い林檎を
第26章 運命の赤い糸
思い出したくない記憶が頭の中をループしていた。
つらかった過去をもう一度繰り返すように私の心を抉っていく。
肩に触れながら何度もソラ先輩が心配そうに声を掛けてくれるけど、答えたいのに体が動かなくて声すら出ない。
「―――乙羽さん!」
名前ではなく苗字で呼んでもらえた時、やっと負のループから解放されて今に戻された。
静かな夕暮れ、目の前には私を支えてくれる恋人がいる。
ここはあの苦しかった時ではない。
今日はとても幸せだった日のはずなのに思い出してしまったせいで気分が一転する。
「はっ…、はぁっ……。ごめんなさい。いきなり頭の中に色々思い浮かんできて混乱してました」
「まさかフラッシュバック……?」