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イケないキミに白い林檎を
第28章 ふたりのしあわせ
「え……。あ、今日は難しい勉強をしたからかもしれません」
勉強と言うよりもさっきの秋との会話で疲れたのかもしれない。
「頑張っていて偉いね。俺の家に着いたらゆっくり休んでいいから」
手を繋がずにソラ先輩の隣を歩く。
本格的に寒くなる頃には、この冷たい手を握って温めてもらえるようになれていたらいいな……。
「――――風子!駅まで行く予定だったなら一緒に行っても良かったじゃないですか」
ビクッと驚いて声がした方を振り向くと置いて来たはずの秋がいた。
まずい。
こうなることを避けたつもりだったのに……。
ハラハラしながらソラ先輩の様子を横目で確認すると爽やかさが消えて笑顔が引きつっていた。
「えっと、同じ学科の榎森 秋くんです。私たちと中学と高校が一緒だったみたいです」