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イケないキミに白い林檎を
第28章 ふたりのしあわせ
「ごめん。今はひとりになって気持ちを整理したいんだ」
自分が必要とされていないことを知って足を止めた。
気持ちがすれ違ったままどんどん離れていく。
それが今までよりもずっと遠く感じた。
悩ませるほど寂しい思いをさせてしまっているのに抱き締めてあげることもできない。
手を握って、行かないでと言えれば今だって引き止められた。
それができない自分が憎らしくなり歯を食いしばって涙を堪えた。
強くなると決めたはずなのに、全然強くなれていない。
大好きな人を幸せそうに笑わせたいけど、私がしていることは苦しめてばかりだ――――