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イケないキミに白い林檎を
第28章 ふたりのしあわせ
口をつむいでいることしかできない私。
不安に飲み込まれて流されそうになっている部分があるから言い返せない。
昨日さえなかったら、この心は揺らぐことがなかったのに。
「間を取ってオレのとこに戻ってくるか?」
「えっ……」
「――――なんて言うと思ったか。まあ、どっちを選択するにしても精々頑張るんだな」
先に帰った颯太がいなくなって立ち尽くす。
帰宅する人混みの中でひとりぼっち。
雲の隙間から覗くぼやけて見える月を見上げると涙が頬を伝った。
私はソラ先輩と一緒にいたら、過去に傷付けられたことを思い出して苦しむ。
ソラ先輩は私と一緒にいたら、触れることもできず拒否されて傷付く。
お互い別の道を歩んで、他の人と結ばれた方が普通の恋愛をすることができるかもしれない。
悲しいけど、私とソラ先輩は一緒にいない方がいいんだ――――