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イケないキミに白い林檎を
第28章 ふたりのしあわせ
一番聞きたくなかった言葉が耳に入ってきて思考がフリーズしていた。
「え……。なんでそんなことを言うの」
悪口で言っているわけでないのが分かるからこそ心にズキッと響く。
「一緒にいてお互いにつらい思いをするならそうするしかねえだろ。
そもそも自分の女を触ることができねえのが、どれだけつらいか分かるか?」
「すごく……つらいと思う」
「塑羅緒の幸せを願うならさっさとトラウマを克服するか、……完璧に突き放すかだな」
突き放すとは、私がソラ先輩と別れること。
完璧となれば今後一切関わらないことを意味しているんだろう。
薄らと浮かんでいた選択だけど、涙が出そうになってくるから考えることを放棄していた。
今だって颯太に現実を口にされて泣きそうになっている。涙は流さないように堪えて鼻水だけ啜った。
「しつこい奴だから振るなら中途半端じゃなくてはっきりと言ってやってくれ。それが今の風子にできる優しさなんじゃねえの」