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イケないキミに白い林檎を
第29章 in flore
「うぅっ……」
バッグで叩かれた肩がジンッと痛む。
それよりも過去の記憶を思い出した時と同じ症状が襲ってきて震えが止まらなかった。
いじめられた時と似たような出来事だったから反応してしまったんだと思う。
立っていられなくなるほど呼吸が苦しくなってきて、しゃがみ込んで壁に寄り掛かっていると秋がやって来る。
「ぐったりして体調でも悪いの?あと、怒鳴り声が聞こえたんですけど、さっき走って行った子と喧嘩でもしたんですか?」
「私のことはいいから……、走って行った子を追ってください」
「え?でもボクは風子の方が心配です」
落ち着けようと秋が背中を撫でてくれるけれど何も変わらなかった。
体だけでなく吐く息までも震える。
会話をするのもつらいけど、秋にどうしても伝えたいことがあって空気を吸って声を吐き出した。
「今日はもう授業がないですし、帰るから大丈夫です。それに……、あの子が秋にとって運命の人かもしれませんよ……」
「何を言ってるんですか。絶対にそれはないです。ボクの運命の人は風子ですよ」