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イケないキミに白い林檎を
第29章 in flore

「構いません……。私は触れないことを克服するって決めたのに、傷付くことが怖くて逃げていました。
だけど過去の心の傷を思い出すよりも怖いことは、ソラ先輩と離れてしまうことだって気付いたんです。だから、このまま逃げていてはいけないんです……」

「乙羽さん……」


「過去の心の傷でどんなに傷付いても、私は……ソラ先輩と一緒にいたい」

これが私の出した答えで、話したかったこと。

同じ気持ちだと知った上で伝えられてとても嬉しかった。


笑顔で喜んでいいはずなのに、悲しさと嬉しさで自分の感情が分からなくなってその場で泣き縋る。


そんな私をソラ先輩が少しずつ抱き締めてくる。

「うん。一緒にいよう」

腕の中に包まれた時、この温もりの代わりは誰にもできないんだと改めて思った。

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