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イケないキミに白い林檎を
第29章 in flore

頭がズキズキと痛い……。

苦しい……。

耳が痛くて今すぐに争いをやめて欲しかった。


「秋、どいてよ!今ムカついてるのは、その浮気女なんだから一発殴らせて!」

「ダメだ!悪いのはボクなんだから」


「――――やめてぇえええ!」


割れそうなほど痛い頭を抑えて大声を出した後、意識を失ってその場に倒れ込んだ。



目が覚めたらベッドの上に寝ていて、体調を確認してきた人に大丈夫だと言ったら解放してもらえた。


外に出てみると、ここがどこなのか分からなかった。

私は今日、どこに行こうとしていたんだろう。


見知らぬ場所を目的もなく歩いていると、バッグの中に入っているスマホのバイブが鳴った。

知らない名前の人からの着信で、話すか迷ったけど通話に応じてみることにした。

『もしもし、乙羽さんお疲れ様。寝てたら風邪が大分良くなったよ。昼の分までお粥を作って行ってくれてありがとう』


「お粥……?何のことですか?」

『ははっ、昨晩と朝に作ったことを忘れたの?…………乙羽さん?』



「あの……、あなたは誰なんですか?――――」


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