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コーストライン
第2章 黒電話
終電も近づいてきたので、奈美と割り勘で会計を済ませる。
テーブルで会計を済ませるシステムらしく、圭吾が会計でテーブルにつく。
「今日はありがとうございました
ゴシップを気にしないでこれからもまた、ご来店をお待ちしております」
「ぶふっ、またご来店します
今日は楽しかったです」
圭吾の対応に気を良くした奈美がそう応え店を出た。
ふと、鞄のスマホが気になり取り出し確認すると、カレからメッセが入っていた。
「今日誘って悪いことしちゃったかしら」
「ううん、そんなことないよ
家電に連絡して出なかったから、メッセで来週の予定」
「あらっ、じゃあ来週は誘えないのね」
「何、毎週誘う気?」
「悪い?」
「奈美ちゃん、カレシは」
「私はいつでもフリーダム」
「さ、帰ろう!」
終電に間に合い帰途についた。
ーー家電に連絡したが、いないようなので来週、いつもの場所でーー
家につく前にわかりましたと返事を入れる。
家に着き、後は寝るだけと思っていたら、玄関から聞き慣れたベル音が響き渡る。
先程、メッセを送信したからカレからと思い電話に出た。
「はい、吉田です」
数十秒無言のうちにプツンと切られた。
暫しの間、その場所に佇む。
間違い電話だったのかな
ごくたまに、夜中に間違いタクシー会社と間違えてかかってくることがある。
今の電話もそうなのかと思った。
しかし、その翌週
カレと約束をして帰ってからも、無言電話がかかってきた。
その後も。。。カレと約束した日に限って電話が鳴り響くようになった。
心待ちにしていた電話がその時から不穏な空気を漂わさせるようになった。